Interview|maya Shibasaki Collaboration

Interview|maya Shibasaki Collaboration

MARTE Interview Vol.8

オリジナルブランド"sahara"から、アーティスト/イラストレーターのmaya Shibasakiさんが書き下ろしたシアートップス4着が6月19日(水)より販売開始いたします。

sahara×maya Shibasaki
Sheer Top Series
販売日:6月19日(水)

POP UP Event at MARTE HARAJUKU
期間:6月19日(水)~7月7日(日)


独創的でオリジナリティの溢れる作品が魅力のmaya Shibasakiさんに今回のコラボレーションにあたっての想いやそれぞれの柄/作品に関すること、またご自身のライフワークについてお伺いしました。

saharaのシアートップス saharaのシアートップス saharaのシアートップス



Interviewer(以下略):saharaとのコラボレーションに至った経緯を教えてください。

maya Shibasakiさん(以下敬称略):2023年の夏頃に仁美さん(saharaデザイナー)からご連絡をいただいたのが始まりです。彼女とは学生時代から繋がりがあったので一緒にお仕事が出来てとても楽くて濃い時間が過ごせました。
saharaの、エッジが効いているけど着る人に馴染むようなデザイン性が好きで、展示会もよくお邪魔しており、以前から愛用しています。
私自身絵を描く時に自然や風景からインスピレーションを得ることが多いので、saharaのように自然の変化や流れといったものを洋服という枠組みの中に落とし込んでいるデザインや考え方に共感できるので、 コラボレーションのお話をいただいた時は純粋に嬉しかったです。

mayaさんの写真

I:製作いただいた4柄について教えてください。

maya:昔私が描いた作品をベースに、要素やイメージを付け加えたりして新たに絵を製作しました。ベースとなる色味やお花の大きさなどの枠組みは仁美さんから貰いつつ、自由に描かせていただきましたね。
Sheer top / Still Life は花瓶と花を抽象的に描きました。こういう花の絵は昔からよく描くのですが、黄色や青といった色味は仁美さんや三好さん(MARTEマネージャー)からの要望を取り入れています。様々な色味を使ってもそれぞれがアクセントになるような一体感のある一着が出来上がりました。

I:一見花瓶というのがわからないデザインがまた良いですね。

maya:Still Life(静物画)というタイトルですが少し崩したような抽象的なデザインが気に入っています。モランディという画家が描く静物画が好きで、彼の作品からインスピレーションを受け取ることも多いです。

saharaのシアートップス/Still Life saharaのシアートップス/Still Life

ISheer top / Floating Flower の絵もお花が全面に描かれてますね。

maya:この作品のうねうねした線は、葉っぱのイメージです。葉っぱを何度も描いていくうちにだんだんデフォルメされていき、 このようなラインになりました。この線が余韻を残したり、硬い雰囲気をまろやかにする役割をもつ様に思います。 布に入るギャザー感を描くのも好きで、それを想起させるところもあり他の作品でもよく取り入れます。

I:とても幻想的ですね。私は煙のような雰囲気を感じました。

maya:人によって受け取り方が異なるのも抽象画の面白いところですよね。ブラックベースにすることでより幻想的な雰囲気を感じるから、私も描いた後にクラゲっぽいなあと思ったり。タイトル通り"浮遊する花"が描けました。

I:バックグラウンドを知ると素敵さがより溢れます。それぞれの作品って下書きはされるのですか。

maya:私は基本下書きはしないである程度構成を決めたらそのまま描いちゃいます。絵の具が盛り上がるような質感の絵が好きなので、絵の具をチューブごと筆に乗せて描くことが多いです。

saharaのシアートップス/Floating Flower saharaのシアートップス/Floating Flower

maya:昔からマチエール(絵肌や質感)に魅力を感じていて。絵画表現を追求したものが多く見られる抽象表現主義という芸術運動の時代の作品に出会ってから、それが根底にあるように思います。
Sheer top / Matiere では筆の動きやかすれ、凸凹感など絵の具の質感を意識して描きました。ひび割れはアクリルガッシュ(絵の具)を使っています。厚塗りするとひび割れし易いのですが、私はそれが好きなので敢えて使うことも多いですね。
この作品は、私が過去に描いたワンピースの絵を元に描いたものです。元のワンピースの絵は女性の足も一緒に描いていたのですが今回はお洋服部分だけ。よく見るとワンピースの形になっているんですよ。

I:何の形だろうと思っていましたが、ワンピースだったんですね!

maya:薄いピンクの部分が、首元と肩の部分。パフスリーブのワンピースのようなシルエットです。言われなきゃわからないですよね(笑)。人によっては違うものを思い浮かべた方もいるかもしれない。それはそれで全然良くて、見た人が何か感じられるような作品が描けたらと思っています。
ちなみに袖の線はクレヨンで描いているのですが、もともとこの作品にはこの赤い線を入れていなかったんですよね。saharaチームから赤い線を入れて欲しいと要望をいただき、追加しました。

saharaのシアートップス/Matiere saharaのシアートップス/Matiere

I:mayaさんの作品にsaharaチームが加わってさらに深みのある一着に。

maya:ありがたいですよね。Sheer top / Scenery に関しても青い背景と赤い花の絵を用意して配置はsaharaチームに任せました。

ISheer top / Scenery は先ほどのマチエールとは雰囲気がまた違いますね。

maya:街を歩いている時に、「あ、この色の配置とても良い!」って思う場面ありませんか。例えば真っ白の壁の前に一輪の真っ赤なお花がポツンと咲いていたり。何気ないワンシーンかもしれないけど自分の中ではとても綺麗に思える一瞬。そんなワンシーンを自分の手の中で観たいな、ずっとそばに置いておきたいな、と思って描きました。
ブルーの部分はどこかの壁のイメージ。絵の具の筆致感やマチエールを意識しました。

saharaのシアートップス/Scenery saharaのシアートップス/Scenery

写真1:アトリエの様子
写真2:2020年「skirt」


I:mayaさんの経歴やアーティスト/イラストレーターまでの道のりを教えてください。

maya:服飾の学校に通いましたが服を作ったり縫ったりではなく、ひたすらデザイン画を描くのが好きでしたね。子供の頃から絵を描くのが大好きで。常日頃絵を描いていて、画用紙が無くなったら次はトイレットペーパーに描いちゃうくらい(笑)。でも絵を仕事にするという考えに当時は現実味が無くって。服飾の学校に行ったら幅が広がるかなと思って進学したのですが、授業やコンテストを通じてやっぱり服を作るよりも絵を描く方が向いているなと気づき、卒業後はアルバイトをしながら絵を描いてました。知り合い伝てに、展示会のDMのデザインなどのお仕事をいただき、個展も何度か行い作品を観ていただく機会が増えて、今に至ります。

I:小さいころの夢が現実に!mayaさんの肩書きはアーティストになるのですか。

maya:私はアーティストという場合とイラストレーターという場合に分けて仕事をしています。内発的に今描きたいものを製作する時はアーティストとして、商業的なお仕事をさせていただく時はイラストレーターとして。その時々でアーティストとイラストレーターの肩書きを使い分けています。

mayaさんの作品/絵を描いているところ mayaさんの作品/2020年skirt

写真1:個展「Bird somewhere」より
写真2:2022年「花摘服」


I:mayaさんの作品は独特の世界観があり魅力を感じます。

maya:最初にいただいていたお仕事でサザンカのお花を描いて欲しいと依頼があり、たくさんサザンカの絵を描いてくうちに表現方法がデフォルメされていきました。絵の具をたっぷりと使うのもこの頃からです。

I:初期の段階から絵の具の塊や質感を大事にした作品を作られていたんですね。ターナーのような水彩画を描くことは無かったのですか。

maya:初期の頃は描いていましたが、そのサザンカの絵をきっかけに マチエールが表現し易いアクリル絵の具を使う様になりました。そのサザンカの絵は今でも自分の根底となっています。

I:お花の絵は昔から描くことが多かったのですか。

maya:そうですね。ご依頼をいただくことはもちろん、内発的に描くことも当時から多かったですね。
2年前に行った個展「Bird somewhere」で、20作品ほど展示したのですが一つも鳥の絵がない、という個展をやりまして。個展名の通り鳥の絵を幾つか描く予定だったのですが、結局花の絵がいっぱいになってしまって。
鳥を描きたいけど、花の絵になっちゃったんですよね。今自分が描きたいものを表現するときに花が一番しっくりときたというか。お花そのものを描く場合ももちろんありますが。お花の姿を借りて今自分が描きたい景色を描くことが多いです。

I:mayaさんの作品はお花だけではなく女性がよく描かれているイメージなのですが、その女性に意味や女性像のイメージはあるのでしょうか。

maya:その時々で意味が異なり、絵の中の女性の印象が強くなりすぎてしまうこともあるので、女性を描かないことも多々ありますが、最近は女性を描こう、というよりはその女性の服を描きたい、柄を描きたい、という気持ちが先行しています。ただ淡々と柄を描くよりも女性が着ている”服”として落とし込む方が抽象的になりすぎないなと。何を考えているかわからない女性の表情を描くのも好きでしたね。

mayaさん「Bird somewhere」の写真 mayaさん作品/2022年花摘服

写真1:なびった紙。mayaさん曰く「その時その時の制作で使用している色が集積した日記の様なもの」
写真2:日々の生活で見つけた景色をSNSにて発信。彼女らしい繊細なタッチが目を惹く。


I:作品を描く時、“嬉しい”や"悲しい"など感情を描くこともあるのですか。

maya:感情を描くことはほとんどないですね。よく観察している花壇とか、風景とか。日常的に見ているけど少しずつ変化していること場面が美しいなと思うことが多くて。先程お話ししたSheer top / Scenery のように、自然界の中ではちょっとした変化でも見ている側の視界が大きく変わる瞬間に美しさを感じます。
最近決まった場所のお花を観察することが多くて。葉っぱが成長したり、花びらが1枚落ちていたり、ちょっとしたそのお花の変化で、いつも見ている視界がぐっと変化する。その視界の変化というものが自分が描く絵にも影響しているなと感じます。

I:日常に見ている景色がインスピレーション源ということですね。

maya:そうですね。あとインスピレーションという部分に関しては、サイ・トゥオンブリーというアメリカの画家の影響は大きいですね。絵画だけでなく彫刻や写真も手掛けていて、ぱっと見ただけだと何の写真かわからないこともあるのですが、その作品が彼の彫刻にも繋がってくるように思います。作風も色味もとても好きですね。
あとは自分が絵を描く際に試し書きや出しすぎた絵の具を活用する為に、絵の具のついた筆をなびる時(こすりつける様な事)に使用した紙からもインスピレーションを受ける事は多いです。
その紙たちを大量に溜めていて、眺めていると何となく筆を滑らしていただけなのにお花っぽい形だな、これは葉っぽいな、って。そこを切り抜いて作品に使用することもあります。Sheer top / Scenery のお花部分にも使用しました。草の所がよく見ると切り絵になっているんですよ。

なびる紙 インスタストーリーの景色の写真

I:今回のsaharaとのコラボレーションはいかがでしたか。4柄とも細かいところまでmayaさんのこだわりが詰まっているのを感じました。

maya:私自身saharaのシアートップスは5柄くらい持っていて(笑)。初期の頃から愛用しています。この季節は毎日のように着ているので、saharaとコラボレーションのお話はもちろんですが、その中でシアートップスを作れたのは本当に嬉しかったですね。ありがとうございます。

mayaさん写真 mayaさん写真



日常の何気ない景色や美しく感じた物事を独特のタッチで表現している maya Shibasakiさん。発売前からお問い合わせも数多くいただいているシアートップス4着は6月19日(水)より販売開始いたします。

なおコラボレーションを記念してMARTE HARAJUKUにてmaya Shibasakiさんの作品展示を行います。コラボレーションシアートップスの原画を含め、今回のために描き下ろした作品を展示販売させていただきます。
原画や作品を実際に拝見できる貴重な機会となりますので、皆様のご来店を心よりお待ちしております。


POP UP Event at MARTE HARAJUKU
期間:6月19日(水)~7月7日(日)


コラボレーションシアートップス商品一覧は こちら





Gest:maya Shibasaki
Text:Furihata Yurika

コラボレーションアイテム写真

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