MARTE Interview Vol.2
様々なブランドの展示会やディスプレイを手掛けるフラワースタイリストのTATSUNOSUKEこと村野辰之介さん。MARTEでは数年前から、展示会や期間限定のポップアップストアなど、事あるごとにスタイリングを依頼しています。
2023年6月1日から新宿地下1階のショーウィンドウを装飾していただいたタイミングで、TATSUNOSUKEさんに今回の展示に向けての想いや今後の展望など様々なことをインタビュー。
フラワースタイリスト村野辰之介さんのルーツを辿ります。
M:フラワースタイリストになられたきっかけを教えてください。
TATSUNOSUKEさん(以下敬称略):僕は最初ファッションスタイリストを目指し服飾の学校に入学しました。
アシスタントにもついていたのですが服は趣味でやったほうが面白いなと気づいてしまって、どんな仕事につくか迷っていたときに誕生日に友達が山にバンジージャンプをしに連れてってくれました。
気分がスッキリした帰り道に森林伐採の光景を目にしたんですが、それがとても衝撃的で、その光景がずっと頭に残っていて。
自己啓発本を読む最中過去の自分と向き合う機会があり、過去の思い出で一番初めに出てきたのが祖母と昔ガーデニングをしていたことでした。その帰り道で見た森林伐採の光景と、過去のガーデニングをしていた光景が相まって、花や木に関わる仕事につきたいなと思ったのがきっかけですね。
まず花の知識をつけようと思い花屋で3年間くらい働きました。お客さんにお花を渡すだけではなくそこで装飾の仕事も少しずつ任せてもらい、今は独立してフラワースタイリストとして働いています。
M:服飾の学校を出てお花屋さんで働く。大きな転身ですね。
TATSUNOSUKE:花と服って、スタイリングをするにあたって感覚が似ていると思うんですよね。用途は違えど組み合わせの色彩やバランス、シルエットがとても大事になってきますし。服飾を学んでいたこともありすんなりと花の面白さを受け入れられました。
服と花、唯一異なるのが、花には”生(なま)”という生命力があること。難しい反面そこにしかない美を味わえるのが魅力的です。
写真:MARTE 2021 AW展示会
M:MARTEでは事あるごとにTATSUNOSUKEさんにお花のスタイリングを依頼しています。いつもどんなことを想ってスタイリングしているのですか。
TATSUNOSUKE:通っていた服飾学校の講師がデザイナーのひとみさんと知り合いで、紹介してもらい、もう3年以上の付き合いになりますね。
MARTEって僕の中で王道の”the可愛い”ではなく女性の強い部分を洋服に落とし込んでいるなと感じています。なので可愛らしいお花は選ばないようにスタイリッシュで力強いものを選出してスタイリングしています。
洋服もカラフルなものが多いので、色味は洋服任せ。その洋服たち引き立てられるよう、ドライフラワーや観葉植物、流木でアレンジしています。”普通”な装飾ではなく、少し変わったシルエットのものを選ぶことで植物特有の面白さとMARTEの服がマッチングするんじゃないかなと。いつも自由にやらせてくれてありがとうございます。笑
写真:sahara 2022 SS展示会
M:TATSUNOSUKEさんのディスプレイはデザイナーのみならず、スタッフやお客様からも毎回好評です。
TATSUNOSUKE:そういっていただけて嬉しいです。MARTEではありがたいことに定期的にフラワーディスプレイを任せていただいていますが、毎度同じ雰囲気だと飽きてしまう。飽きさせないようユニークな植物を使用するだけではなく斬新なスタイリングを提案できることが大事だなと常に思っています。
M:そのアイデアはいったいどこから湧いてくるのでしょうか。
TATSUNOSUKE:映画や本からインスピレーションを受けることもありますが、日常から常にアンテナは張っていますね。自分がカフェに居る際の窓枠に入り込む木の見え方だったり、街を歩いていてもこの配色いいなと感じる場面が多くあります。この何気無い景色たちを、アイデアを考える際のストックとして混ぜ合わせ、スタイリングに落とし込んでいます。
本番の会場やスタジオに行ってから、自分が考えていたところより大きかった、など予測してないことが起きることもありますが、毎度臨機応変に対応しています。空間を演出する上で花には正解がないのも面白いところですね。緊張感もありますし、当日までどう完成するかわからない怖さもありますが、それがフラワースタイリストとしてとても楽しいです。
M:緊張感や怖さを楽しめるってとても素敵なことですね。
TATSUNOSUKE:仕事はとても好きなので今まで辞めたいと思ったことはないですが、たまに何も出てこないときもあります。その時はストレスを溜めないよう、自然が好きなので山に登りにいきますね。朝に出かけて昼に頂上、最後は温泉で締める。最高にリフレッシュできます。 一式道具を揃えなくても手軽に楽しめる山はたくさんあるので、おすすめです!笑
M:今回、新宿駅構内のショーウィンドウを手掛けていただきましたが、どのような想いで制作をされたのでしょうか。
TATSUNOSUKEさん:人が行き交う駅の中に、MARTEのショーウィンドウ。最初話をいただいた時は凄い面白い案件だったなと思いました。普段MARTEのフラワーディスプレイをする時は洋服に合わせてスタイリングをしていましたが、今回は新宿店の内装に合わせて火星を意識してスタイリングしました。
M:全体的に草木が白でまとまっているなと感じましたがそこにはどんな意図があったのでしょうか。
TATSUNOSUKE:デザインを考えているときに「火星に一輪だけ白い花が咲いていた」という面白い記事を見つけて。火星には水がないはずなのに一輪だけ咲いている光景がスピリチュアルな要素もありつつロマンにも満ちているなと。そこから白色一択でデザインをしました。
M:火星の、水もなく閉鎖的な空間があのショーウィンドウとマッチしていますね。
TATSUNOSUKEさん:正解がないのでインパクトをもたせたくてずっと悩んでいました。
床には石をびっしり敷き詰めて、同じものを規則的に並べる光景が無骨なコンクリートの新宿駅と相まって面白くなりました。6月末まで展示されているので是非ご覧ください。
M:最後に、いつもバッグに入れているものと、最近のマイブームを教えてください。
TATSUNOSUKE:バッグにはヘッドホン、花切りバサミ、本を常備しています。
最近のマイブームは雑貨集め。今後アトリエ兼お店をやりたいなと思っていて、少しずつ雑貨やオブジェを集めています。生活に寄り添ったようなお店がやれたらいいなと思っています。
目まぐるしい活躍をされているTATSUNOSUKEさん。フラワーアーティストとしてはもちろん今後の展開も注目したいところ。
TATSUNOSUKEさんのディスプレイはとてもパワーに満ちているので、MARTEに遊びに来られた際は是非周りの草木にも注目してみてくださいね。
新宿ルミネエストB1階西側ウィンドウディスプレイ
期間:6/30(金)まで
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