

オリジナルブランド"sahara"と、アートディレクターのKOTOKA IZUMI氏 がタッグを組み、シアートップスを製作しました。
saharaデザイナー・野村仁美がイタリアで撮影した写真とKOTOKA IZUMI氏のイラストが融合し唯一無二の一着に。マルチに活躍するKOTOKA IZUMI氏に、今回のコラボレーションに至った経緯や製作したイラストへの想い、また活動の原動力やインスピレーション源などをお伺いしました。
KOTOKA IZUMI
アートディレクター。10年前にイラストレーターの仕事を始め現在はフォトグラファーやジュエリーデザイナーなどマルチに活躍する。アパレルブランドKnuth Marfのアートディレクターを務める。
MARTE Interviewer(以下略):saharaとのコラボレーションに至った経緯を教えてください。
KOTOKA IZUMIさん(以下敬称略):仁美さん(saharaデザイナー)と三好さん(MARTEブランドマネージャー)から、フォトグラファーとしてsaharaの撮影を依頼していただく機会があり交流が生まれ、シアートップスのコラボレーションの話をいただきました。
元々saharaの服はプライベートでも愛用していて、以前からシアートップスシリーズが特に好きだったこともありとても嬉しくて!二つ返事でお受けしました。
私は、一緒にモノ作りをする上で理由が必要だなと思っていて。単純にイラストを描く、ではなくそのブランドの歴史やストーリーを加味した上で製作したいと思っています。
KOTOKA:MARTEの人たちはみんな優しくて温かい人たちで、今回ロケ撮影をした際も終始笑いが絶えず、こんな良い現場あるんだ!って感動しました。(笑) 製作から撮影まで良いチームで行えて私自身とても楽しかったです。
仁美さんも三好さんも、服を作るだけではなく写真を撮ったりスタイリングやヘアメイクをしたり、一人で何役もされているじゃないですか。とても刺激を受けますし私ももっと頑張ろうって思えたきっかけにもなりました。
写真:左から01 Ceiling mural , 02 Dolomiti , 03 Fiore , 04 Terrazzo
M:今回制作したシアートップスはKOTOKAさんに2柄描いていただき、2枚ずつ落とし込んでいます。野村がイタリアで撮った写真をベースにイラストを描いていただきましたが製作した柄に対するこだわりを教えてください。
KOTOKA:まず、それぞれの写真に対するテーマをいただいていました。02 Dolomiti と 03 Fiore は自然を、01 Ceiling mural と 04 Terrazzo は海外の建造物。
そこに合わせてイラストの素材を一つずつ作り、写真に合うように配置しました。
頭の中で仕上がりのイメージがありましたが実際にデータ上に配置していくと違うな、ということもあり。描いては入れて、描いては入れて、ここは黒が多い方が良いな、ここは抜けているほうが良いなってたくさん悩みましたね。没になった素材もたくさんあります。
二つのデザインが連動していても良いなと思っていて。大きく2柄を製作しましたが同じ素材もいくつか入れています。
写真:左 01 Ceiling mural 右 04 Terrazzo
KOTOKA:01 Ceiling mural と 04 Terrazzo は、ちょうど1年前に家族旅行でヴェネチアに行っていたのでその時の記憶や感じたことを描いています。彫刻やアンティーク時計といた自分の記憶が、ベースの写真とマッチして良い感じに仕上がりました。
英語の文字列は、間違えた文字もあえてそのままにしています。自由に描いてくださいと仁美さんからご依頼を受けていたこともあり、自分らしくラフに描けたかなって思います。
写真:左 02 Dolomit 右 03 Fiore
KOTOKA:山や木々のイラストは仁美さんからいただいた写真を起こして描きました。つばめのイラストが個人的にお気に入り。02 Dolomiti と 03 Fiore は写真のデザインが全面に出るようなイラスト配置にしています。
英文は、自分がイラストを描くときのコンセプト文章を入れています。
「何が正解かわかったふりをして創り出されたものたちは表面的でいつだって退屈だ。」
「本質はもっと深い場所で思う以上に泥臭くて 悲しかったり苦しかったり、そればかりではないけれど、単純じゃないいくつもの感情が交錯する。」
「表面の裏側にあるものが何かは、誰にもわからない。それでも私たちは問い続けなければいけない。目に写るものの裏側を、自分の中の本質を。」
M: 最初にモノ作りをする上でストーリー性を大事にしたいとおっしゃっていたように、KOTOKAさん自身のコンセプトが目に見える形で残されているが素敵です。KOTOKAさんのお気に入りはどの一着ですか?
KOTOKA:悩ましいです…。01 Ceiling mural と02 Dolomiti ですかね。普段シンプルなファッションが多いのでスラックスやジャケットに合わせてインナー使いしたい!でも結局手に取りやすいのはブラックベースの 03 Fiore か 04 Terrazzo でしょうか…。03 Fiore は紫のお花の写真がとてもsaharaっぽいなって思います。
saharaのシアートップスはタイトな作りではなく、ゆったりと着られるのが嬉しいですよね。夏はトップスとして1枚でそのまま着たいです。
写真:KOTKA IZUMI 過去作品
M:「あ、KOTOKAさんのイラストだ」とぱっと街で見かけてもわかるような特徴的なドローイングが魅力ですが、昔からテイストは一貫して同じなのでしょうか。
KOTOKA:イラストレーターをメインで仕事をしていた時と大分変化しています。初期は人物をしっかり描き込むような繊細な線画でした。落書きテイストなドローイングだったり、クロッキー調なイラストは並行して描いていたのですが、仕事というより趣味で描いてましたね。
イラストレーターの仕事を始めてから来年で10年が経ちますが、、最初の頃はありがたいことに休む間もなく毎日絵を描いていて、目の前の仕事をひたすらにこなしていました。
コロナ禍になってお仕事が途切れる機会があり、制限なく自分の描きたいものを描ける時間が増えて。今まで"仕事"として絵を描いていたことに気付くきっかけになりました。そこからクライアントワークとしてのイラストではなく、好きなものを描いていったら徐々に今のようなテイストに変化していきましたね。
写真:KOTKA IZUMI 過去作品
KOTOKA:結婚と出産のタイミングでまたお休みをもらう期間があったのですが、そこで"何のために絵を描くのだろう"と改めて自分と向き合う時間も増えて。今までは”断らない精神”で、いただいたお仕事は全てお受けしていましたが、少しずつイラストを描くお仕事をセーブして、自分の応えられる範囲で仕事を受けるようになりました。
M:コロナ禍があり、プライベートでも転機があり、テイストも徐々に変化していったのですね。
KOTOKA:やっぱり絵を描くことが好きで始めた仕事だからこそ、絵を描くことを好きなままでいたいなって思っていて。仕事に没頭しすぎてイラストを描くことを嫌いになりかけた時期もあったので、自由に制限なく描ける今の環境に感謝しています。
M:フォトグラファーの仕事をお受けするようになった経緯を教えてください。
KOTOKA:自社のアパレル撮影を全て行っている状況で、あまり外部の仕事は受けていなかったのですが、1年くらい前にもう少し写真を頑張りたいなって気持ちが芽生えまして。ライティングの知識を習得したりテストシュートをお願いしたり、様々なシーンで撮影したり。フォトグラファーだって自信持って名乗れるように勉強しました。アパレルのルック撮影から雑誌、ポートレート撮影、プロダクト撮影の仕事など、幅広くお受けしています。
写真:KOTOKA IZUMI撮影 (sahara / SYKIA ルック撮影)
KOTOKA:今までやりたいことをイメージしてもなかなか思うようにいかないことも多く苦戦しましたが、勉強して場数を踏めばやりたいことや表現したいことが明確にできるようになっていく。ルックの撮影でどれだけモデルさんやヘアメイクさんが良くてもカメラが駄目だったら全て駄目になってしまう。フォトグラファーとして仕事を受けた以上失敗はできないプレッシャーは感じますが、まだまだスタートしたばかりのことなので今後も成長できるよう頑張ります。
写真:去年家族旅行で訪れたヴェネチアの景色
M:カメラの仕事もイラストの仕事も、その表現を生み出すためのインスピレーションは何処からやってくるのでしょうか。
KOTOKA:写真は海外のフォトグラファーの作品やマガジンをよく見ています。ピンタレストやインスタグラムといったSNSを常に見て、情報を得ています。
イラストは旅行先で感じとることが多いです。生で見た景色がインスピレーションのもとになっています。
特にヨーロッパに行くと何気ないドアノブのディテールや、カフェで出てきたお皿の模様など、意図してないところの美しさやこだわりに惹かれます。
洋服の展示会に行っても、お洋服はもちろんですが、配置とか動線とか...そこを見せようと思ってない、ってところをつい見てしまうんですよね。そこから発見があってそれをどう自分の中で一つのパーツとして落とし込んでいこうか、常に考えています。
M:本当に幅広くお仕事をされていて、その原動力はどこからきているのでしょうか。
KOTOKA:私は”成長過程”が一番楽しくて。ゲームで例えるとボスに行くまでのレベルアップの期間が一番やりこむし気合いが入る。レベルが上がっていく自分自身がとても楽しいし、できることがどんどん増えて実感できる。そこに面白みを感じています。何かの為、これがあるから頑張れる、というよりは、自分自身の変化の過程が楽しいなって思います。
写真:去年家族旅行で訪れたヴェネチアの景色
M:仕事に行き詰まった際のリフレッシュ方法を教えてください。
KOTOKA:友人とのご飯が一番息抜きになりますね。癖で常に頭を動かして考えしまっているのでぼーっとするのが苦手なんです。仕事で手があくタイミングがあっても次のプロダクトを考えてしまったり。
一応、仕事に行き詰まらないように自分の中の100%をそれぞれに割り振って仕事をすることを心がけていますが、それでも切羽詰まりそうになる時は友人と飲みに行って一旦全てを忘れる時間を作ります。仕事のことを考えずただ楽しい時間を過ごすことで頭が切り替わり、また頑張ろうって思えます。
M:最後に、saharaとのコラボレーションはいかがでしたか。
KOTOKA:saharaのシアートップスには元々ファンもいらっしゃると思うので、そこに起用していただけたのもとても嬉しかったです。シアートップスにイラストを描くのはもちろん、写真の上からイラストを描く仕事は初めてなのでとても新鮮でした。自由に描いてくださいとご依頼を受けたので、制限なく楽しめました。私のことを知らない人でも、商品を見て可愛いって思っていただけたら一番嬉しいです。
日々の意図していない美しさに気付き、消化し、自分の作品として落とし込むKOTOKA IZUMIさん。常に思考し、ひたむきに仕事に向き合い続けるからこそ生み出されたセンスある作品たち。
saharaとのコラボレーションシアートップスは7月2日(水)より販売開始となります。
sahara × KOTOKA IZUMI Collaboration Sheer Top
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Anima in Viaggio ― 深遠なる旅の軌跡 ―
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「旅」。
日常の喧騒や雑念から解き放たれ新しい景色や体験に心をゆだねることで、いつもとは異なる自分自身へと向き合う特別な時間。
昨年、それぞれ異なる時期にイタリアを旅したアートディレクター・KOTOKA IZUMIとsaharaデザイナー・野村仁美。
ふたりの心に残った別々の記憶と感性が共鳴し"sahara × KOTOKA IZUMI Collaboration Sheer Top"へと昇華されました。
本コラボレーションでは野村がイタリアで撮影した風景写真に、KOTOKA IZUMIがインスピレーションを受けて描いたイラストや言葉を重ね、目に見える風景と心の中に広がる感覚的な世界を融合させています。
写真、イラスト、そして旅の記憶。
それらが織りなす、ノスタルジックで温かな一着。
「旅」がもたらす解放感、そして“再発見”の瞬間。
まとうことで静かに感じることができ、感性に寄り添ってくれるようなアイテムとなっています。是非ご覧くださいませ。
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Guest:KOTOKA IZUMI
Text:Furihata Yurika
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