Interview|フリーランスパタンナー古島麻弓さん

Interview|フリーランスパタンナー古島麻弓さん

MARTE Interview Vol.4

ブランドやメーカーで経歴を持つフリーランスのパタンナー・古島麻弓さん。MARTEオリジナルブランド”sa ha ra”のパターンも以前より古島さんに依頼し作成していただいております。
フリーのパタンナーとして活躍する経緯や仕事のやりがい、趣味多様な古島さんの素顔に迫ります。

フリーランスのパタンナー

:パタンナーになられたきっかけを教えてください。

古島麻弓さん(以下敬称略):昔から裁縫が趣味なこともあり、文化女子大学(現:文化学園大学)に入学しました。
色々学ぶ上でパタンナーの存在を知り、何かを新しく生み出すデザイナーよりも、目の前に用意されたデザインをモノとして世に生み出す方が自分に向いてるかなと思い、パタンナーの道を目指しました。細かい作業が好きでしたしね。
新卒でアパレルメーカーのパタンナーとして就職しました。最初の1年間はアシスタントとして働いていましたが早い段階からひとりで任せてもらうこともしばしば。当時はパタンナーの先輩が6人いたので6通りの話を聞いて自分なりに落とし込んでいました。
そのあと転職をして1年くらい違う会社でパタンナーとして働いてからフリーランスのパタンナーとして転身しました。

フリーランスのパタンナー

:ずっと紙でパターンを引いているのですか。

麻弓:就職してからはCADで引いています。会社で数人ですが手引きで仕事をこなす方もいましたね。パソコンの小さい画面で書いて、実際に紙に起こしてみると思っていた線と違う場合もあったり。最初の頃は何が良くて悪いかわからなくて、とにかくがむしゃらで仕事をしてました。
大学2年のときに行ったインターシップで、「パタンナーという仕事は5年続けてちょっと掴める、10年続けてやっとわかってくるものだよ」という助言がずっと胸に残っていて。その言葉を糧に仕事をしてきました。

:10年続けてようやくわかる。深い言葉ですね。

麻弓:今、パタンナーとして10年以上経って、なんとなくその意味がわかるようになってきました。
パターンを引く線にも「良い線」と「悪い線」があったり。最初の頃は何もかも手探りなので、どうしたら良い線になるのか、先輩たちから学ぶのはもちろん、私自身も数をたくさんこなすことで見つけてきました。

写真:saharaトワルチェックの様子


:今までパタンナーの仕事で辛くなったり辞めたいと思ったことはありますか。

麻弓:14年目になりますが辞めたいって思ったことはないですね。
入社して2,3年目以降は早く経験を積みたかったのでパターンのセミナーや外部の学校にたくさん行っていたのですが、そこで聞く話が面白くて。「パターンを引く上での魅力」について今も昔も引き込まれています。

:セミナーや外部講師から学べる機会があるんですね。

麻弓:当時はセミナーがあると聞くたびに飛び込んでいっていました。
そのなかで、イタリアのセコリというファッション学校で教えられているパターンメーキングについて学んだことがあります。ゆとりの入れ方や、アイテムごとの作図方法、グレーディングや縫製を学びました。
面白かったのはドレスの作図をしたときに、Vネックは胸元まで深く入っていたり、裾のスリットも大胆に入れていたり、日本とヨーロッパでの体型の違いや、洋服の着こなし方の違いを垣間見ることができました。

フリーランスのパタンナー

:デザイナーがデザインしたものを形にするって相当難しい作業だと思います。

麻弓:難しいですね。何年もパターンを任せてくれているブランドさんだったらお互いに話し込んでいるのでそのブランドの特色や好みをすぐに落とし込めるのですが、初めてのご依頼での一番初めのトワルチェック(パターン/型紙をシーチングと呼ばれる無地の白い生地に起こしたものをデザイナーに見せる場)が一番緊張します。そこで「何か違う」ってなると終わってしまう場合もあるので(笑)
今9社くらいの仕事を掛け持ちしていますが基本的にはどのブランドさんも可愛いねってなることが多いので嬉しいです。

:どんな時に仕事のやりがいを感じますか。

麻弓:トワルチェックにしろサンプルチェックにしろ、着た瞬間に可愛いって言ってもらえるのが一番嬉しいです。反応が良かったり喜んでもらえるとやってて良かったなって思いますね。 少し前にアーティストのライブ衣装を手がけた時があったのですが、アーティストと衣装、そして会場の空間が一体化している瞬間を見たときは鳥肌が立ちました。パターンを引く上で、量産ベースの服もオンリーワンの服もどちらも良さがあって好きですが、個人からの依頼だと距離が近い分率直な感想が聞けるのが嬉しいですね。
量産ベースのお洋服だと、デザイナーさんとの距離は近いけど実際に着用するお客さんの意見を聞く機会は少ないです。

:saharaのアイテムはゆったりと着られるアイテムが多くお客様からもお褒めの言葉を頂きます。

麻弓:それはとても嬉しいですね。着やすいので私も大好きです。ずっと昔から作っていると服に愛着も湧くので展示会ではついたくさん買ってしまいます。

写真:最近趣味の歌舞伎座(古島麻弓さん撮影)


:仕事に行き詰まったときのリフレッシュ方法を教えてください。

麻弓:仕事柄ずっと家に篭っているので、外に出るようにしています。自然が好きなので散歩に行ったり時間があれば旅行にいったり。 あと最近は東銀座まで歌舞伎をよく見に行くようになりました。歌舞伎の内容もそうですが舞台の作り込みも凄いんですよ。パターンも裏方の仕事なので、そんな素晴らしいセットを見ると私も頑張ろうって気持ちになります。
その土地に根付く、ずっと昔から残っているものって素敵ですよね。旅行に行った先でもその土地特有のものをよく見にいくようにしています。

東銀座の歌舞伎座

写真:コットン栽培の様子(古島麻弓さん撮影)


:最後に、いつもバッグに入れているものと、最近のマイブームを教えてください。

麻弓:バッグには裁ちばさみとメジャー、ノート、ピンクションを入れています。 マイブームは、藍染をベースにしたコレクションの展示会にお誘いいただいた時があり、その時に藍の種をもらいまして、今一生懸命育てています。あとコットンにも興味があり、一緒に育てています。時間はかかりますがコットンが出来上がったら糸を紡いで、藍で染めるところまで自分の手で出来たら、と密かに思っています。

コットン栽培の様子

フリーランスのパタンナーとして、saharaだけではなく様々なブランドでその力を発揮している古島麻弓さん。気分転換のお散歩中に写真を撮ることも多々あるよう。趣味多用に人生を謳歌している姿と繊細な仕事とのギャップが新鮮でした。

皆様に着心地が良いと思っていただけるような服をこれからも製作してまいります。今後のsaharaのアイテムも是非チェックしてみてくださいね。

お散歩の写真
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