

オリジナルブランド"sahara"と、画家/イラストレーターのYOLK (yamagishi misaki)さん が書き下ろしたTシャツ2型とシアートップス3型の販売が決定。
アクリル絵具をメインにクレヨン、鉛筆など様々な画材を使い制作を行い、独特なコンポジションと筆遣いで表現をするYOLKことyamagishi misakiさん。
現在はパリを拠点に活動している彼女に、今回のコラボレーションにあたっての想い、それぞれの作品が出来上がるまでの苦労、またご自身の経歴やライフワークについてお伺いしました。
MARTE Interviewer(以下略):YOLK (yamagishi misaki)さんの経歴や活動内容、活動にあたり大切にしていることを教えてください。
YOLK (yamagishi misaki)さん(以下敬称略):ヘアサロンやアパレルショップのウィンドウペインティング、飲食店のメニューとホームページ用の挿絵、個人・グループでの展示を行っています。知人から家に飾るようの絵を描いて欲しいと依頼をいただくこともありますね。
また仕事ではないですが、お世話になった方や大好きな友人へ、何かお祝い事で絵を描くことも大切にしています。絵を描くことがただの商売で終わらずに、自分の好きなことで感謝を伝えられる方法があることがいつも嬉しく思います。
M:今回3つの作品を製作いただきましたがそれぞれ詳しく教えてください。まずは独創的な模様が印象的なBreeze doingについて。こちらはどんな情景をモチーフに描いているのでしょうか。
YOLK:夕暮れの海辺で、風にそよぐ情景を描きました。
目には見えない風や空気感、そしてその時間の流れを表現したくて、モチーフや風景は写実的ではなく、あえて抽象的な形で描いています。そのため、輪郭線をはっきりさせず、色と色のつながりを大切にしながら、あえて綺麗なグラデーションにはせず、筆跡を残すことで風のゆらぎを表現しました。
M:大胆な山のシルエットが目を惹くSatin mountainについて教えてください。
YOLK:山をサテンのような質感で描き、夜空には月の満ち欠けを意識していくつかの月を配置しました。Breeze doingとは対照的に、こちらはクールな印象を持たせたくて、コントラストを強めにし、線も比較的シャープでスッキリとした表現を意識しました。
写真1:以前描いた"サテン"の作品
YOLK:Satin mountainは、以前の私のシリーズでも描いたことのある“サテン”のテーマを引き継いだものです。以前描いた絵をsaharaさんを通して"服"という形で残せることがとても新鮮です。
Breeze doingとSatin mountainについては、いつもと同じくアクリル絵の具を使い、馴染みのある手法で描いていますが、シアートップスのように、自分の絵を服の全面に大胆に落とし込むというのは初めての経験でした。
紙の上とは違って身体に沿った立体になることで、どんな見え方になるのか少し不安もありましたが、saharaの皆さんがとても素敵にデザインしてくださって、仕上がったサンプルを見たとき、自分の絵がより力強く、美しく昇華されていたことに感動しました。
M:じわっと浮かび上がるカラーのお花が印象的なCalla lilyについて教えてください。
YOLK:Calla lilyは他の2点とは異なり、カラーという花と2人の女性を、イラストのように線で表現しました。紫のカラーの花言葉は「夢見る美しさ」。その言葉がぴったり重なるような女性たちを想像しながら、線と色の流れを何パターンも試しました。
すべての色は水を多く含ませて滲ませながら一発で着彩しており、修正が効かないぶん、集中と覚悟をもって取り組んだ作品です。
美しさの中にある芯の強さ、そしてほんの少しの哀愁がにじみ出るような視線や表情になるよう意識しました。
写真1:製作中の様子
YOLK: Calla lilyではアクリル絵の具を使いながらも、透明水彩のような表現に挑戦しました。紙もCalla lilyだけ他の2柄とは異なる種類のものを使用し、水分を吸収しやすい素材を選びました。
滲みが想像通りにいかない難しさもありましたが、その分偶然生まれる表情に面白さを感じ、またこういった手法にも挑戦してみたいと思えるきっかけになりました。
写真:2018年 友人とのグループ展の一部
M:YOLK (yamagishi misaki)さんがこの道を目指したきっかけを教えてください。
YOLK:小さい頃から絵を描くことが好きで、美術の時間がとても楽しみでした。美大に進学したわけではありませんが、絵は私にとってずっと大切な“ライフワーク”のような存在でした。
2018年に友人たちとグループ展を開催したことをきっかけに、少しずつ絵のお仕事をいただくようになり、今の活動につながっています。
「イラストレーターになりたい!」と明確に目指してきたというよりは、大切にしてきた“絵を描くこと”を自然と続けてきた結果、今のかたちになったように感じています。
いつもご依頼をくださる知人や友人にあたたかい言葉をかけてもらえて、続けててよかったなぁと思わされます。
M:インスピレーション源を教えてください。
YOLK:私は植物や動物を描くのが好きなので、散歩をしながら自然の中にある植物をよく観察しています。さまざまな葉や花のかたちや色、自然の摂理に沿って生まれる特徴には、いつもワクワクさせられます。
実際に絵に落とし込むときは、ただ写し取るのではなく、自分の感覚や気持ちを交えて表現するようにしています。
また、日本にいた頃は印象派の画集や資料集、海外のファッション雑誌などから、色彩や筆致のニュアンスにインスピレーションを受けていました。
現在はパリに住んでいるので、美術館で実際の絵画や彫刻を観たり、街ゆく人々の色づかいや、美しい公園の風景など、日常の中にある“美”から自然に刺激を受け、それを絵に反映させています。
写真:愛猫 大吉くん
M:行き詰まった時のリフレッシュ法を教えてください。
YOLK:とてもシンプルですが、少し仮眠をとることが多いです(笑)。15分ほど目を閉じるだけでも頭がスッキリして、起きたあとは自分の絵をより客観的に見ることができる気がします。
あとは、飼っている猫と触れ合うのも良いリフレッシュになります。普段はあまり懐いてこないのに、なぜか忙しい時に限って机の上にやってきて、絵の具を踏んで作品を台無しにしてくれることも…(笑)。
でも、そんな気まぐれな彼と過ごす時間は、私をふっと力の抜けた“そのままの自分”に戻してくれるような気がします。
M:最後に今回saharaとコラボレーションはいかがでしたか。
YOLK:今回、これまで挑戦したことのない色彩を多く使うことになり、最初はその感覚を掴むのに少し苦労しました。
ただ、saharaの皆さんの持つ熱量や美意識に深く共感できたことで、最終的には自分らしい作品に仕上げることが出来たと思います。
人との繋がりや感謝を大切にしながらライフワークである"絵を描くこと"を自由に楽しんでいるYOLK (yamagishi misaki)さん。
「好きなものを、好きなまま、おばあちゃんになるまで描き続けていきたいです。」と彼女がいうように、その時見た景色や色彩を、手法や伝統に捉われず自由に描いている彼女の作品たち。どの作品も繊細さと情熱が混ざっており、彼女の絵のタッチを通して見た人を優しい気持ちにしてくれます。
そんなYOLK (yamagishi misaki)さんとのコラボレーションアイテムは、Tシャツ2型(4/29発売予定)、シアートップス3型(5月中旬頃発売予定)となります。
ぜひお手にとってご覧くださいませ。
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Guest:YOLK (yamagishi misaki)
Text:Furihata Yurika
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